【第Ⅱ編解説 抑制剤の圧入しやすさに関するパラメータkαの設定方法】1.試験施工データの整理 | コンクリート構造物に生じたASR(アルカリ骨材反応)を抑制する補修工法 亜硝酸リチウムを主成分としたASR抑制剤をコンクリート中に圧入し、構造物全体のASR(アルカリ骨材反応)を根本的に抑制|ASRリチウム工法協会

アルカリ骨材反応抑制工法 ASRリチウム工法 技術資料(初版)
【第Ⅱ編解説 抑制剤の圧入しやすさに関するパラメータkαの設定方法】

1.試験施工データの整理

 試験施工で得られたデータを解.表-1にまとめた。試験加圧注入あるいは本加圧注入において、ASRで劣化したコンクリートに削孔した圧入孔よりASR抑制剤を加圧注入した場合、圧入開始後しばらくすると時間あたりの圧入量はほぼ一定となる。すなわち、ASRリチウム工法においては概ね定圧、定流量(定常)の圧入となっていると見なせる。このため、試験施工においては時間あたり一定の圧入量に対して所定量の圧入に要する時間を予測し、圧入の管理を行っている。しかし、時間あたりの圧入量は構造物の劣化の程度により異なり、同じ構造物においても圧入孔毎のばらつきが大きいため、標準偏差Sdが大きい傾向が見られた(解.表-1)。解.図-1にASRによるコンクリートの劣化の程度と抑制剤の圧入に要した時間を整理した。ただし、縦軸の圧入に要した時間は解.表-1中の試験加圧注入により推定された圧入の完了時間、あるいは本加圧注入での実完了時間の長い方について、95%の確率で圧入が完了する時間(平均値+1.645Sd)を採用した。また、部材厚やアルカリ量による圧入孔1孔あたりの抑制剤量の相違を補正するため、平均部材厚(m)と単位抑制剤量(Litter)で除した値を単位量の圧入に要した時間とした。また、横軸のASRによるコンクリートの劣化の指標は圧縮強度および弾性係数とした。解.図-1より、ASR抑制剤の圧入に要する時間はASRにより劣化したコンクリートの圧縮強度あるいは弾性係数が小さいほど小さく、正比例の関係が見られる。
解.表-1 試験施工データの傾向(圧縮強度・弾性係数と圧入に要した時間)

解.表-1 試験施工データの傾向(圧縮強度・弾性係数と圧入に要した時間)
※太文字の値を圧入に要した時間として採用した。

解.図-1 圧縮強度・弾性係数と圧入に要する時間の傾向<br>(単位圧入孔長、1リッターあたりの所要時間)

解.図-1 圧縮強度・弾性係数と圧入に要する時間の傾向
(単位圧入孔長、1リッターあたりの所要時間)

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