これまでほとんど方法が無かったコンクリート内部のアルカリ骨材反応の根本的な抑制ができるとして注目されているASRリチウム工法。昨年全国8ヶ所を回って開催した勉強会では述べ1000人近くの聴講者を集めるなど、日増しに関心が高まっている。 | コンクリート構造物に生じたASR(アルカリ骨材反応)を抑制する補修工法 亜硝酸リチウムを主成分としたASR抑制剤をコンクリート中に圧入し、構造物全体のASR(アルカリ骨材反応)を根本的に抑制|ASRリチウム工法協会

アルカリ骨材反応を止める唯一の工法

2010年02月22日 中建日報

アルカリ骨材反応を止める唯一の工法これまでほとんど対策方法がなかったコンクリート内部のアルカリ骨材反応の根本的な抑制ができるとして注目されているASRリチウム工法。昨年8ヶ所を回って開催した勉強会では述べ1000人近くの聴講者を集めるなど、日増しに関心が高まっている。そこで、平成17年の協会設立から監事として工法の普及活動に努めている徳納武使氏に工法の近況や今後の展開を聞いた。
 -ASRリチウム工法の概要は。
「コンクリート構造物に削孔した圧入孔を通じ、圧入用の拡散型亜硝酸リチウムをASR抑制剤として構造物内部に加圧注入し、全体に浸透拡散させる方法。従来は表面に塗ってイオン拡散する方法が主流だったが、穴を開けて注入してやれば症状の重い最奥部にも直接抑制剤が作用し、根本的な対策になり得る。」
 -これまでの施工実績や協会の活動実績は。
「施工実績は国・県や民間の発注で西日本中心に20件。現在も昨年行った全国キャラバンの反響で多数の引き合いをいただいている状況で、まだまだ増えると思う。また、一昨年の末に国交省が策定した『アルカリ骨材反応による劣化を受けた道路橋の橋脚・橋台躯体に関する補修・補強ガイドライン(案)』に対策工法として掲載された。その中のほとんどが予防・保全に関するもので。発生したものを止める工法は当工法だけ。アル骨を止める唯一の方法といって良いのではないか」

カプセル型の小型化に成功、コスト大幅削減

 -最近の話題は。
「亜硝酸イオンは鉄筋防錆、リチウムイオンはアル骨対策にそれぞれ効果があるため、工法を塩害・中性化対策としても推進していきたいと考えている。ただ、値段が高いことがネックで、解決のためにカプセル型の装置を開発した。カプセル内に抑制剤を入れ、小型コンプレッサーの圧力で注入する方法。壁厚のあるものは大掛かりな機械が必要だが、そうでない場合はこのカプセルで事足りるため、大幅にコストを削減できる。実験が終わって特許を申請し、実用化に向けて動いているところだ。また、建築への応用も考えている。建築の塩害・中性化対策の難点は塗膜やタイルが貼ってあることだが、この方法は注射と同じで穴をあけて注入すればよい。建築の場合は壁厚もないため、特にコストを下げられる」

 -今後の活動展開や目標は。
「これまではASRリチウム工法だけに特化してきたが、新年度からは前述の塩害・中性化対策をはじめひび割れ注入や断面修復など、亜硝酸リチウム使用工法の分野を広げ、さらにそれをNETIS登録する。これまでの広報活動が実を結んできているので、さらに知名度を高めたい。また、コンクリートの塩害は部位によってムラがあるものだが、複数の工法を持ち、使い分ける事でコストダウンが図れる。そのための方法もまだまだ考えていきたい」

徳納氏の横顔

東海大学海洋学部卒でボストンへの海外留学経験もあるなど経歴は多彩。信条は『自分の限界を作らないこと』。趣味はゴルフ、釣り、習字、英会話で、市内移動は健康のために全て自転車。
昭和30年1月10日生まれの55歳。

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